シルバー人材センターで研修を終え、いよいよ初めての勤務の日を迎えました。
担当は、市のプラザの夜間管理です。
仕事は二人一組で行います。
私は、その日が来るまで落ち着きませんでした。
「自分にできるだろうか。」
「利用者の方に迷惑をかけたらどうしよう。」
65歳を過ぎてから始める新しい仕事です。
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若い頃とは違い、覚えることにも少し時間がかかります。
不安がないと言えば、うそになります。
勤務先へ着くと、ペアを組む先輩が笑顔で迎えてくださいました。
その方は、以前この施設を管理していた会社を退職されたベテランでした。
施設のことを知り尽くしていて、利用者の皆さんからも信頼されている方でした。
私は少し緊張しながら挨拶をしました。
すると先輩は、穏やかな笑顔でこう言いました。
「焦らなくて大丈夫ですよ。」
そして続けて、
「最初から何でもできる人はいません。分からないことがあれば、遠慮なく聞いてください。一緒にやっていきましょう。」
その言葉を聞いた瞬間、不思議なくらい気持ちが楽になりました。
それまで肩に力が入っていた私でしたが、「失敗してはいけない」という思いが少し和らいだのです。
仕事が始まると、施設の見回り、出入口の確認、施錠、利用者への案内など、一つひとつ丁寧に教えていただきました。
先輩は、仕事だけではなく、人との接し方も教えてくださいました。
「利用者さんには、まず笑顔であいさつ。」
「困っている人がいたら、自分から声をかける。」
その姿を見て、私は「夜間管理は施設を守るだけではなく、人とのつながりを大切にする仕事なのだ」と感じました。
仕事を終えた帰り道、私はほっとした気持ちになりました。
「今日も無事に終わった。」
その安心感と同時に、「また頑張ろう」という気持ちも生まれていました。
今振り返ると、あの日の先輩の一言があったからこそ、私は3年間仕事を続けることができたのだと思います。
人は、優しい言葉をかけてもらうだけで前を向くことができます。
年齢は関係ありません。
65歳を過ぎても、新しいことに挑戦する勇気は持てます。
そして、その勇気を支えてくれる人との出会いがあることも知りました。
私はシルバー人材センターで、お給料だけではなく、人の温かさもいただきました。
あの先輩には、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。
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次回予告
【第3話】夜間管理の仕事で学んだ、人とのつながりの温かさ
夜間管理は、建物を見守る仕事だと思っていました。
しかし、実際に働いてみると、一番大切だったのは「人とのつながり」でした。
利用者の皆さんとの何気ない会話や、「ありがとう」の一言が、私の働く励みになっていきます。