60代になってから、考える時間が増えました。
「子どもたちに少しでもお金を残したほうがいいのだろうか。」
それとも、
「自分たちの老後を優先してもいいのだろうか。」
若い頃は、そんなことを考える余裕はありませんでした。
毎日の仕事に追われ、家族を養い、子どもを育てることに精一杯でした。
子どもの笑顔を見ることが、何よりの幸せでした。
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だから、「少しでも残してあげたい」という気持ちは、今も変わりません。
しかし、年齢を重ねるにつれて現実も見えてきました。
病気になることもあります。
介護が必要になることもあります。
私自身、高血圧と35年以上付き合いながら生活しています。
98歳になる母は有料老人ホームで暮らしています。
遠方に住む私は日常の介護ができず、妹が長年母を支えてくれました。
その妹も後期高齢者となり、緑内障を抱えています。
この現実を目の前にすると、「老後の備え」は決して他人事ではありません。
退職金や年金は、安心して暮らすための大切な資金です。
それを無理に切り詰めてまで、子どもへ残そうとする必要はないのではないか。
最近、私はそう考えるようになりました。
もちろん、残せるものがあれば残したい。
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でも、そのために自分たちが生活に困ったり、子どもへ「助けてほしい」と頼ることになったりしては、本末転倒です。
私は、子どもたちに一番残したいものは、お金だけではないと思っています。
「最後まで自分たちらしく生きた姿」です。
畑で土に触れ、家内と笑い合い、98歳の母に会いに行く。
そんな穏やかな毎日を積み重ねることが、子どもや孫への何よりの贈り物になるのではないでしょうか。
親が安心して暮らしている姿を見ることは、子どもにとっても安心につながります。
私は60代になって、ようやくそのことに気づきました。
お金は大切です。
でも、お金は「安心して生きるための道具」です。
目的ではありません。
だから私は、まず自分たちの老後を守り、そのうえで残せるものがあれば、感謝の気持ちとして子どもたちへ渡したいと思っています。
それが、今の私なりの答えです。
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