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【第5話】命を守る備えは、今日から始められる。家族に伝えたい防災の話

震度7の地震で、家がなくなった

地震というものは、本当に怖いものです。

私はこれまで、災害について何度も考えてきました。

水を準備する。

防災リュックを用意する。

家族との連絡方法を決めておく。

季節に合わせて、防災用品を見直す。

それでも、実際に大きな地震を経験すると、頭の中で考えていたこととは全く違いました。

震度7の地震。

長年住み慣れた自宅が倒壊しました。

そこは、家族と長い年月を過ごしてきた場所です。

毎日の生活があり、思い出があり、家族の歴史が詰まっていました。

その家が、地震によって住めない状態になったのです。

もう、この家には住めない

地震のあと、自宅を見ると、以前の姿とは全く違っていました。

「本当に、ここが自分の家なのか」

そう思ってしまいます。

まだ仮設住宅の整備も整っていない。

住む場所がありません。

そこで、親戚の家に居候させてもらい、一部屋を借りて生活することになりました。

今まで自分の家で自由に暮らしていた生活から、一気に環境が変わりました。

住む場所があるだけでもありがたい。

そう思いながらも、心の中には大きな悲しみが残ります。

罹災証明書のために写真を撮る

さらに、被災したことを証明するため、罹災証明書の申請に必要となる自宅の状況を写真に残しました。

「この家は、もう住めません」

それが分かるように、壊れた場所を一つずつ撮影していきます。

スマートフォンやカメラを向ける。

そして、シャッターを切る。

一枚。

また一枚。

そのたびに、涙が落ちました。

写真を撮っているだけなのに、心の中では、これまでの生活が次々と思い出されます。

「ここで長い間、暮らしてきたんだ」

「この家で、いろいろなことがあったな」

そんな思いが込み上げてきます。

まるで夢を見ているようだった

家が壊れたという現実を、すぐには受け入れられませんでした。

頭では分かっている。

でも、心がついていかない。

まるで夢を見ているような状態です。

朝になっても、

「これは本当に現実なのか」

と思ってしまう。

昨日まで自分の家だった場所が、もう住めない。

その現実を受け入れるには、時間が必要でした。

それでも、一番大切なのは命だった

そんな中で、私が最後に強く思ったことがあります。

それは、

「まず、自分自身が助かったことが一番大切だ」

ということでした。

家は壊れてしまいました。

長年使ってきた家具も、思い出の品も失うかもしれません。

悔しいです。

悲しいです。

簡単に気持ちを切り替えることなどできません。

それでも、生きている。

自分の命が助かった。

これは何ものにも代えられないことです。

家や物は、時間がかかっても、少しずつ取り戻したり、作り直したりできるかもしれません。

しかし、命だけは戻すことができません。

だからこそ、防災を考えるときに一番大切なのは、

「どうやって命を守るか」

なのだと思います。

防災は「特別な人」だけのものではない

防災というと、何か特別なことのように感じるかもしれません。

しかし、今回の経験を通して、私はそうではないと思うようになりました。

まず、水を準備する。

防災リュックを確認する。

携帯トイレを準備する。

夏なら暑さ対策をする。

冬なら防寒用品を準備する。

家族との連絡方法を決めておく。

そして、自宅の中で危険な場所がないか確認する。

一つ一つは小さなことです。

でも、その小さな準備が、いざというときに自分を助けてくれるかもしれません。

家族にも伝えておきたいこと

私が家族に伝えたいのは、

「災害は、いつ起きるか分からない」

ということです。

若いから大丈夫。

家は丈夫だから大丈夫。

防災用品を買ったから大丈夫。

そう思っていても、自然災害は私たちの予想を超えてくることがあります。

だから、家族で一度話してほしいと思います。

「地震が起きたら、どこに避難する?」

「連絡が取れなくなったら、どうする?」

「水はどこに置いてある?」

「防災リュックはどこ?」

これだけでも構いません。

災害が起きてからではなく、何も起きていない今だからこそ、話しておくのです。

高齢者だからこそ「今」備える

高齢になると、若い頃のように素早く動くことが難しくなる場合があります。

重いリュックを背負って長距離を歩くことも大変です。

だからこそ、早めの準備が大切です。

自分に必要なものを、自分で考えて準備する。

そして、家族にも自分の希望を伝えておく。

「もしものときは、こうしてほしい」

ということを話しておくだけでも違います。

5話を書いて、私自身も考え直した

今回の防災シリーズでは、

第1話で、地震のニュースを見て防災を考えました。

第2話では、防災リュックはあっても水がなかったという自分の失敗を振り返りました。

第3話では、固定電話だけに頼らず、家族との連絡方法を考えました。

第4話では、停電や断水、猛暑、そして高齢者にとって大切なトイレ用品について考えました。

そして第5話。

実際に家を失うほどの災害を経験すると、最後に残る思いは、

「命が助かってよかった」

ということでした。

おわりに

長年住んできた家がなくなる。

これは、本当に悲しいことです。

一枚の写真を撮るだけでも、涙が出てきます。

それでも、生きていれば、もう一度立ち上がることができます。

小さな部屋からでも、新しい生活を始めることができます。

だから私は、家族やこれから高齢になる人たちに伝えたいと思います。

防災は、明日からではありません。

今日から始められます。

水を一本確認する。

防災リュックを開ける。

家族と避難場所を話す。

携帯トイレを準備する。

それだけでもいいのです。

そして何より、

「自分の命を守ること」

を一番に考えてほしいと思います。

家や物を失う悲しみは、とても大きいものです。

しかし、生きていれば、また新しい一歩を踏み出すことができます。

このシリーズを読んでくださった皆さんが、今日一度でも「我が家の防災は大丈夫かな」と考えてくだされば、私にとってこれ以上うれしいことはありません。